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最高裁判所第二小法廷 昭和43年(行ツ)57号 判決

東京都中央区銀座六丁目四番地

交詢ビル二〇六号室

日本白十字経済会理事長坂本郁二郎又は坂本又一郎

こと坂本又一破産管財人

上告人

野間彦蔵

東京都中央区新富二丁目六番一号

被上告人

京橋税務署長

井沢隆之助

右当事者間の東京高等裁判所昭和三八年(ネ)第二五一二号源泉徴収所得賦課処分等取消請求事件について、同裁判所が昭和四三年二月二八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があつた。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

所論のうちには違憲をいう部分もあるが、その実質は、たんなる法令違背の主張にすぎない。そして、原審の適法に確定した事実関係ならびに昭和二八年法律第一七三号による旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)の一部改正の経過等に徴すれば、原判示別件賦課処分について存する原判示の瑕疵はいまだ同処分を当然無効ならしめるものではないとした原審の判断は、正当として是認することができる。

なお、所論は、右賦課処分はたんなる納税の告知にすぎず、公定力を有する行政処分ではないから、原判示の瑕疵により当然無効になると主張するが、旧国税徴収法(明治三〇年法律第二一号)六条の定める納税の告知は、支払者の納付すべき税額を確定する効力を有する行政処分と解すべきであるから、所論は前提において失当である。

論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するものにすぎず、いずれも採用することができない。

よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 小川信雄)

(昭和四三年(行ツ)第五七号 上告人 日本白十字経済会理事長坂本郁二郎又は坂本又一郎

こと坂本又一、 破産管財人野間彦蔵)

上告人の上告理由

第一点 原判決には憲法第二九条、同第三〇条及び同第八四条並びに昭和二八年法律第一七三号による改正後の所得税法第一条第二項第三号の規定の解釈及び適用を誤つた違法がある。

一、日本白十字経済会理事長坂本都二郎又は坂本又一郎こと坂本又一(以下破産者坂本という)が、いわゆる出資者に支払つた金員に対して、被上告人(被控訴人・被告)税務署長が昭和三三年九月三〇日なした源泉徴収所得税賦課処分(昭和三六年(行)第八八号の訴訟物、これを第一審及び原審の表示方法に従ひ、以下「別件賦課処分」という)には右憲法及び所得税法の規定の解釈・適用を誤つた重大且つ明白な違法・瑕疵があり、従つて同賦課処分は当然無効なものなので破産管財人である上告人は第一次的請求としてその確認を求めた。

然るに

(イ) 原判決は、その理由において「(原判決第一一枚目表第四行目から裏第一行目まで)当裁判所は右処分は違法であるが、その違法は処分を当然に無効たらしめるほど明白なものであるとすることはできないものと判断するものであつて、その理由は原判決の理由に掲げるところと同一であるから、原判決の右該当部分〔原判決理由三、の(一)前段(原判決第四〇枚目裏第一行目から第四一枚目裏第六行目まで)及び右に引用する同二の(二)及び(三)(原判決第三〇枚目裏第五行目から第四〇枚目表第二行目まで)〕を引用する。当審に提出、援用された証拠によつても、右認定を左右するに足りない。」と判示して控訴人(上告人)の主張を排斥したのである。

(ロ) そして原判決の引用する第一審判決理由三の(一)前段は「まず原告の第一次的請求の当否について考えてみるに、被告らが破産者にその支払つた配当金につき所得税法所定の源泉徴収納付義務ありとしてした別件賦課処分が違法であることは、さきに二、において詳述したとおりである。しかしながら、云々等の事実に照らすときは、上記賦課処分の違法は、これらの処分を当然に無効たらしめるほど明白なものであるとすることはできない。」と判示して原告(上告人)の主張を排斥したものである。

二、 違法の行政行為に取消し得るに過ぎないものの外に無効にして、(固より、取消し得るが、取消すまでもなく)無効確認の対象となり得るもののあることは一般に認められており、唯その区別の標準について諸説のあるところであるが、違法が重大であるばかりでなく明白である場合にはじめて無効の行政行為と認める、とするのを通説とする(法律学全集田中二郎行政法総論三三七頁以下法律学講座双書田中二郎新版全訂行政法上Ⅰ一二四頁以下)。

上掲の原判決及び原判決の引用する第一審判決の判示が、違法が重大であるか否かに言及しなかつたのは、この通説に従い、違法が明白でない以上、その必要がないものと判断したためと認められる。

然れども、上掲の原判決において同時に引用する第一審判決理由二の(二)及び(三)は、昭和三一年(行)第一〇七号源泉徴収所得税賦課処分(以下、第一審及び原審の表示方法に従つて「本件賦課処分」という)取消請求事件において第一審裁判所が本件賦課処分を違法として(違法が重大であるか否かを問うまでもなく)取消した理由であつて、その理由とは結局、所得税法にいわゆる匿名組合契約等とは、当事者の一方が相手方の事業のため出資をなし相手方がその事業から生ずる利益を分配すべきことを約する契約であるから、「(第一審判決第三九枚目表五行目以下)いわゆる出資者に対しその出資に対する対価として事業の利益の有無に関係なく確定率の金銭等の支払いを約する契約のごときものは、利益の分配たる本質的要素を欠くものとして所得税法上の匿名組合契約等に該当しないものといわなければならない。云々。そこで右解釈に照らして破産者と出資者らとの間の上記契約の性質を検討するに、云々、事業者たる破産者は、出資者らに対し、事業による利益の有無とは無関係に毎月出資額に対する月五分の割合による確定額の金銭を出資の対価として支払うことを約しているのであるから、たとえそれが配当と名づけられているにせよ、その実体においては不確定利益の分配たる性質を有しないものといわざるをえず、従つて右契約は、云々、すでに右の点において所得税法にいわゆる匿名組合契約等には該当しないものといわなければならない。」というにあり、被告税務署長が、破産者坂本と出資者らとの契約は所得税法にいわゆる匿名組合契約等に、破産者坂本の出資者らに支払つた配当金は同法にいわゆる匿名組合契約等に基づく利益の分配に、破産者坂本はその支払をなす者に夫々該当するものとして、これに対してなした「本件賦課処分」は、課税の対象とすべからざるものを対象とし、納税義務なき者に対して賦課したもので、行政行為一般からいつても、その重要な法律要件を欠くものとして唯に単純軽微な違法に止まらず、重大な違法であるといわなければならない(上掲行政法総論三四九頁、行政法一三一頁)。

しかのみならず課税の対象とすべからざるものを対象として、納税義務なき者に対してする賦課処分は単なる計算違いの如きものと事かわり、租税法律主義を宣明する憲法第三〇条及び同第八四条の規定に違反し、法律の規定によらないで、憲法第二九条の保障する国民の財産権を無償で収奪することに帰すべく、その違法性の重大であることは明らかであり、更にこの場合においては違法の明白は必要がないものと信ずる。何となれば、若しこれを必要とするならば、裁判上明白になつたのに拘らず、処分当時明白でなかつたがために右憲法の保証する租税法律主義を蹂躙することになろう。

三、いづれにしても別件賦課処分の違法は明白でもあつたのである。

わが国の判例上、行政行為の違法は外形上、客観的に明白でなければならないとされるが、その意義は必ずしも明白ではない。

西ドイツにおいて、通説の重大明白説に、瑕疵が、誰にでも、又は法律に精はしく諸般の事情に通じている者に(RG-ドイツ大審院判例)、又は問題になるすべての事情を慎重に評価するときに、疑う余地なく認識し得ることを基準とするの別があるとされているが(ハンスJ、ブオルフ行政法Ⅰ一九六五年第六版二九五頁3)、この「誰にでも」の趣旨が、例えば問題の土地が現にどのように使われているか、見れば分るような単純な事実の誤認の如きものなら格別、若し、法律問題、これを別件賦課処分について言えば、被告(被上告人)署長が破産者坂本といわゆる出資者らとの契約に基づいて支払つた金員を税法にいわゆる匿名組合契約等に基づいて支給した利益の分配であると判断し、これに同法を適用して源泉所得税を賦課した処分行為の違法は明白であるかどうか、という法律上の価値判断をするのに、税法にいわゆる匿名組合等の法律上の意義・性質を知らない者にでもなおかつ処分の違法が明白でなければならない、とするのであるならばそれは全くナンセンスというべきである。上告人はこの場合においては少なくもその判断をするのに必要な程度の法律知識を有する者を基準とすべく、若し、税法にいわゆる匿名組合契約等の法律上の意義・性質が明らかで異論がなく、破産者坂本と出資者らとの契約が右匿名組合等に該当しないことがこの程度の法律知識を有する者にとつて明白であるとするならば、別件賦課処分の違法は明白であると言はねばならないものと解するものである。「誰にでも」とは畢竟この程度の法律知識を有する誰にでもの意味でなければならない。どの程度の法律知識を有すべきかは事案次第である。

なお注意すべきは、別件賦課処分の違法が明白であるか否かは、破産者坂本が出資者らと契約をした昭和二八年当時ではなく、この賦課処分がなされた昭和三三年九月三〇日を基準として判断されなければならないということである。

(一) 上告人は第一審裁判所において、(第一審判決「被告らの主張に対する原告の反論」のうち、第二一枚目裏第二行目以下)所得税法にいわゆる「匿名組合契約」がいかなる契約であるかについて同法にはなんら規定するところがない。したがつて、同法にいわゆる「匿名組合契約」とは商法第五三五条以下に規定する「匿名組合」を指すものと解さなければならない。このことは、税法の把握対象が民法、商法等の規定に従つて営まれる経済行為や、これ等の法規の下に成立し、活動する社会的経済的な実在ないし形成物であることからいつても当然のことである。そして同税法施行規則第一条にいう「その他当事者の一方が相手方の事業のため出資をなし相手方がその事業から生ずる利益を分配すべきことを約する契約」においても、右解釈から推すときは、ここにいう事業が商行為以外の営利行為を意味することのほか、その成立要件は商法所定の匿名組合のそれと同一であると解すべきことも当然である、と主張したのである。

ところが国税庁長官は既に昭和二九年一月五日「匿名組合契約及びこれに準ずる契約は、商法(明治三二年法律第四八号)第三編第四章に規定する匿名組合契約ばかりでなく、広く当事者の一方が相手方の事業の用に供するために金銭その他の財産を提供し、相手方が当該事業から生ずる利益を分配すべきことを約する契約であつて、その事業を営む者が常に十人以上の者とそのような契約を締結している場合の当該契約をいうのであるから留意すること」という通達を出しており、税務官庁は当時から既にそのことを了知していたのである。

そこで別件賦課処分のあつた昭和三三年九月三〇日以前に現われた、商行為法の解説書の二、三に就き(竹田省商行為法昭和六年発行八〇頁以下、小町谷操三商行為法論昭和一八年発行一六四頁以下、大隅健一郎商行為法昭和三三年三月発行七九頁以下)商法所定の匿名組合の意義・性質の要件を摘出すれば、

(1) 匿名組合は二当事者間の契約である。その当事者の一方は出資をなす者であり、他方は営業をなす者であつて、前者を匿名組合員、後者を営業者という。故に一営業者が同時に多数の相手方と匿名組合契約を締結するときは法律上は相手方の数に応じて数個の独立の匿名組合が成立する。

(2) 匿名組合員は営業者の営業のために出資をしなければならない。

(3) 匿名組合においては営業者はその営業から生ずる利益を分配しなければならない。すなわち、営業の成績により変動する利益を分配することが、匿名組合の要件である。利益の有無にかかわらず一定額の支払が約束されているときは匿名組合とはいえない。ここに利益とは営業年度の始めと終りとにおける財産額の増加を意味する。

(4) ある契約が匿名組合であるか否かは、その契約の実質によつて定まるのであつて、当事者の用いる名称によるのではない(竹田八一頁、大隅八一頁、なお大審院大正六年五月二三日判決民録二三輯九二〇頁)。というのであつて、これらの点については何の異論もないのである。

別件賦課処分の違法が明白であるか否かはこの処分の当時(昭和三三年九月)少なくともこの程度の法律知識をもつていた者を標準としなければならない。匿名組合の法律上の意義・性質について、この程度の知識だに持たない者にでも、なおかつ、当該契約が匿名組合契約でないことが明白でなければならない、というが如きは正にナンセンスである。

(二)(1) 而して原告(控訴人・上告人)が本件賦課処分(昭和三一年(行)第一〇七号)事件につき昭和三一年一一月八日提出した訴状に対する被告ら(別件被告・被上告人外一名)の昭和三二年一月二四日附答弁書(同年三月一四日第二回口頭弁論期日において陳述)において被告らは左の事実を認めており、換言すれば左の事実は当時既に被告らにも明かであつたのである。即ち

(イ) 右訴状の請求の原因第一項記載の裁判所の破産決定の理由は破産者坂本が出資者らに対し営業の利益損失の有無に拘らず契約期間中元本に対する約定の確定利率による金員の支払を為し且つ期間到来により元本の返済を為して来たことを認定し、両者間の契約は匿名組合でないと判断したものであること。

(ロ) 破産者坂本が出資者らに対し、約束し、支払つたものは、利益の有無に拘らず、出資の期間中(三ケ月、但し出資者の希望により延長することができる)一ケ月出資金の五分という確定率による金員であつたこと。

被告税務署長が課税の対象としたものは破産者坂本がこの約定に基づいて支払つた金員であること。

(ハ) 破産者坂本と出資者らとの各個契約の数が昭和二八年後半当時、数千口あつたものであること(一口の出資金額は五千円、一万円、五万円、十万円という小額であるから、上記訴状の請求の原因第二項に掲げた賦課決定-本件賦課処分-の「支給金額」は数千口の出資に対するものであり、又かように数千口あつたということ自体、この各契約につき、個別的損益計算をしたものでなく(これをすることは不可能である)、破産者坂本が支払つた金員は事業の成績に関係のないもの即ち利益の分配でないことを物語るのである。そのことは右「支払金額」を算定した被告人が誰よりもよく分つているのである。

(ニ) なお被上告人税務署長は昭和三三年九月三〇日別件賦課処分をするにつき日本全国の税務署を動員してその「支給金額」を算定した(乙第一七号証の八乃至六五)のであつて、このことは、この当時、上記(ロ)及び(ハ)の事実を知悉していたことを明らかにするものである。

(2) 破産者坂本と一出資者との契約の内容及び型式を左に例示する。

(第一審判決理由二の(二)の(2)の(イ)乃至(ヘ)-第三二枚目裏第五行目以下及び原審における、控訴人(上告人)第二準備書面第二項及び証人武石栄一の証言)

(イ) 日本白十字経済会(即ち破産者坂本又一)は、昭和二十七年六月以来本店及び全国に散在する数十の店舗の看板、新聞、ラジオ、営業案内等のリーフレツト等で、出資一口金五千円以上、配当月五分、出資期間三ケ月以上と全国的に、大々的に宣伝して何人(なんぴと)たるを問はずに出資者を募集した(甲第二号証の一、同第六号証の一乃至五、乙第一号証の一乃至三及び第一一号証(大蔵委員会議録第八号)第二枚目第四段目及び第五段目、井上委員等々)

(ロ) これを見又は聞いた甲は試みに五月一日同経済会の一支店に行き、金一万円の出資を申込み、同支店職員の交付する「匿名組合入会申込証」と題する同経済会備え付けの用紙(甲第二号証の三)に所要の事項を記入し、記名・捺印の上、これを現金一万円と共に同支店に提出し、その出資期間を三ケ月と約する。(三ケ月以上であれば何ケ月でもよい。)

同支店はその場で甲に、金額一万円の領収書(乙第二号証)を交付し、数日後、この領収書と引換に右金額一万円の出資証券(甲第二号証の二)を甲に交付する。

(ハ) 甲は翌月の応答日即ち六月一日に右出資証券を持参して同支店に赴く。同支店職員は五月一日から応答日の前日即ち同月三十一日まで一ケ月分として金一万円の五分に相当する金五百円を予め入れてある「優待配当金袋」(乙第四号証)を甲に交付する。同支店の職員は甲の持参した右出資証券の裏、配当金欄に所要事項を記載して甲に返す。甲は同支店備付けの出資者カード(甲第三十二号証)の配当金領収印欄に受領印を押捺する。

甲は第二回目の応答日七月一日にも同支店で前と同じ手続で金五百円入りの「優待配当金袋」を受取る。

(ニ) 甲は第三回目の応答日にして解約予定日である八月一日に同支店に赴く。前と同じ手続で金五百円入りの優待配当金袋を受取ると共に、先に提供した金壱万円の返還を受け、出資証券(甲第二号証の二)の裏面末段「表記の金額正に受領しました」とある下りの左に記名捺印の上、これを同支店に返還する。

これで甲は同経済会とは爾後何等の関係もなくなるのである。

以上(ロ)乃至(ニ)の契約には甲第二号証の二及び三、同第三三号証、乙第二及び同第四号証のような書類が用いられたが、要は甲が五月一日に金一万円を提供すれば、これに対し一ケ月毎に一万円の五分金五百円を支払われ三ケ月たつて元本金一万円の返還を受けるという仕組に外ならないのである。

(ホ) 同経済会は上記の通り、大々的に宣伝し、日本全国に散在する数十の支店を通じて、右と同一内容・型式の契約を毎日、時及び処を異にして、不特定多数人と、しかも相互間に何等の関連もなく、別個独立に集団的、継続的に結び且つ実行し、この同種契約が上記(1)の(ハ)に記載した通り、昭和二八年後半には数千口あつたことは公然たる事実である(なお上掲乙第一一号証第二枚目第四段目及び第五段目参照)。

のみならず昭和二八年十月二四日保全経済会が突如として全面的休業を発表するや、所謂保全旋風が巻き起り、株主相互金融や匿名組合等の名称による業態が相い次いで休業するに至つたのを契機として国民の眼はこれ等の業態に向けられ、その業務内容や法的性格に関心が寄せられ、識者がその実態を調査、研究し、新聞、雑誌等に発表して世人の注意を換起したことは周知の事実である(匿名組合方式のものにつき、例へば、判例タイムズ第三四号昭和二八年一一月一五日発行七頁以下)。一方これ等の業態は昭和二九年頃大方破産の申立により裁判所の審理判断を受け(破産者坂本に対する破産決定は昭和二九年九月二八日-昭和三一年(行)第一〇七号事件の訴状請求原因第一項)、源泉徴収所得税の賦課処分を受けた破産管財人等はこれに対し取消請求等の訴を提起し、これまた裁判所の審理判断を受けるようになり(例えば原告破産者勘業経済株式会社破産管財人円山田作外三名被告京橋税務署長間の昭和三一年(行)二四号同三一年二月訴提起、同三三年七月三日判決言渡)税務官庁たる被上告人が別件賦課処分をするまでにはこれら業種の実態及び法律上の性質が一層明かにされたのである(控訴人、上告人昭和三九年三月十六日附準備書面第七項)。

(三) これを要するに

(1)(イ) 別件賦課処分の違法が明白であるか否かは少なくとも普通の法律知識をもつている者を標準としなければならない。

所得税法にいわゆる「匿名、組合契約」とは商法所定の匿名組合を指し、又「これに準ずる契約」とは出資を受ける者が、商行為以外の営利行為を営むことの外、商法所定の匿名組合契約の要件と同一の要件の契約を指すものであることは、法律一般の解釈からいつて疑問の余地がなく又、昭和二九年一月五日、同趣旨の上記通達が出ているのであるから、税務官庁たる被告(被上告人)としては、同三三年九月三〇日別件賦課処分をするときには、これを了解し、承知していたこと明白であると云はねばならない。

更に右処分当時、商法所定の匿名組合契約は営業者がその営業の成績により変動する利益を分配することを要件とするか、それとも利益の有無に拘らず、一定金額の支払が約束されている契約をも含むものかどうか、疑義のあるところである、というのではない。利益の有無に拘らず、一定額の支払が約束されているときは匿名組合契約といえないことについては当時も異論のないところであつた。

(ロ) 破産者坂本が出資者らに対し約束し、かつ支払つたものは、事業の成績により変動する利益の分配であるか、それとも利益の有無に拘らない一定率の金員であるかどうか、一寸調査しただけでは判明しないというものではなく、利益の有無に拘らない、一定率の金員であることは公然の事実であつて、なお契約が数千口あつたこと自体、利益の分配であり得ないことを物語るもので、被告(被上告人)もこれを知つていたことを既に昭和三二年一月に認めているのである。

(ハ) 従つて破産者坂本と出資者らとの契約は、用語の如何に拘らず、税法にいわゆる匿名組合契約等に該らないことは客観的に明白であつたのである。

(2) それにも拘らず、被告(被上告人)が、破産者の右契約に基づいて支払つた金員を税法にいわゆる匿名組合契約等に基づいて支払つた利益の分配であるとし、これを対象として昭和三三年九月三〇日した別件賦課処分の違法は極めて明白であると云わねばならない。

然らば、被告は何故かくも明白な違法処分を敢えてしたのであるか、他なし、被告は「匿名組合契約等に基いて支払を受けるものは、出資の払戻しとして、支払を受けるものを除き、匿名組合契約等に基く利益の分配とする。」破産者坂本が出資者らに対して支払つたものは利益の有無に拘らない一定率の金員であることは認める。しかし、当事者は匿名組合、出資金、利益配当等の文言を用いていたのであるから、当時者間の契約は税法にいわゆる匿名組合契約等に該る、従つて破産者坂本が出資者らに対して約束し、支払つたものは、匿名組合契約等に基づく利益の分配である、というに在る。第一審における、訴訟に数年の歳月が費やされたが、被告の主張は結局これに尽るのである。つまり、事実関係については争がなく、唯法律の解釈について独自の見解を固執していたのである。(第一審判決事実の第三被告らの主張のうち、二及び三、即ち第八枚目表第五行目から第二〇枚目末尾まで並びに理由二の(三)の被告らの主張、即ち第三七枚目裏第七行目から第三八枚目第一〇行目まで参照)。

被告(被上告人)の賦課処分が違法であることは第一審及び原審裁判所の認める通りであるのみでなく、その違法は明白でもあるのである。

(四) 以上縷述したところから、原判決が別件賦課処分は違法ではあるが、この違法は処分を当然に無効たらしめるほど明白なものであるとすることはできないものと判断しその理由として引用した第一審判決の該当部分に挙げらたているような事実〔第一審判決理由三の(一)前段(原判決第四〇枚目裏第一行目から第四一枚目裏第六行目まで)〕の存在は遅くとも昭和三三年九月三〇日別件賦課処分当時においてはその違法が重大であるばかりでなく明白でもあつたと認めるのに何の障にもならないものであつたこと、既に明白であると信ずる。即ち

(1) 第一審判決には「破産者と出資者らとの間のいわゆる出資契約が商法上の匿名組合契約としてなさるものであるとの形式をとつていた」とあるが、本来匿名組合契約を締結するについて特別の形式があるわけでなく、返つて右当事者間のいわゆる出資契約及びその実行は上記第三項(二)の(2)に例示したように、その仕組が匿名組合契約にふさわしからざることに気付くであろう。そこで用いられた書類に、匿名組合とか出資又は配当なる文言があるがために金銭の提供者に確定的の補償(一ケ月五分)が約束され実行されていた事実が少しもぼやけていないことも分るであろう。

又「日本白十字経済会の組織運営の実体がかなり複雑であり」とあるが、右に引用した例示のように同会の各地の支店が契約し、実行する。金壱万円の出資者が毎月その五分の割合による「配当金」五百円を受け、三ケ月目に、先に「出資」した金壱万円の返還を受けるのに、同経済会の内部関係が如何ようであるかは、何の関わりもないこと、恰も各個人の銀行預金取引がその銀行の組織運営の実体と何の関係もないのと同様である。

(2) 第一審判決は更に「成立に争のない乙第八号証乃至第一二号証によれば、被告らの主張するように、前記所得税法の一部改正がなされた頃本件契約その他これに類する契約関係の下に、多数出資者から資金を集めて事業を運営する匿名組合等の方式による事業形態が政府部内および国会において問題となり、これが必ずしも商法上の匿名組合ないしはこれに類するものには当らないとはいえないとの見解の下に所得税法の一部改正がなされ、同法一条二項三号後段等の規定が設けられたものであることが認められること、」と所得税法の一部改正がなされたとき(昭和二八年)の立法者意思を挙げているが、立法者の意思は成文法の解釈を拘束しないこと第一審判決の認める(第三九枚目表第一〇行目以下)通りで、なお別件賦課処分当時(昭和三三年九月三〇日)には諸経済会の所謂出資契約の実態等が明かにされていたことは上述の通りである。のみならず、右乙号証を閲覧すると、立法(昭和二八年第一五、及び第一六回衆議院大蔵委員会議録)当時立法者らにも既にその実態は明らかであつたのであるが、しかし、肝心な、その法律上の性質を判断するに必要な法律知識が欠けていたものであることが分るのである。

即ち立法者らは

(イ) 所謂出資者に一定額の支払が約束されていることをよく知つており、(例えば乙第一一号証大蔵委員会議録第八号第二枚目第四段及第五段、井上委員「……さきにも申しました通り、新聞雑誌等に誇大な宣伝をし、しかも月何分という利子を支払うということを一つの広告の大きなみ力に使つて、ふだん何ら知己縁故、取引の関係のない者から出資をせしめておる。これは明らかに匿名組合の規定に違反した行為であると思うが、そうは解釈できませんか。」、「……全国津々浦々に支店、出張所を設け、その事業内容に至つてもほとんど何ら示すことなく、単に何万円出資すれば、二箇月お預りをいたします、そうしてその利子は何分お払いいたします、そういうことが主として契約の条件になつている。事業目的というものは、全然明らかにされておらぬ。単に出資した金額に対して、二箇月間を限つて何分の配当をいたします、何分の利益を差上げますという契約が、主としてその出資者を募る場合の条件にされております。そういうものが、はたして匿名組合といえるかどうか、こういう問題がここに起つて来ます。」、その他、乙第八号証第一枚目河野政府委員、第五段目後部乃至第二枚目第一段目及び同号証七枚目第四段以下、中崎委員等)。

(ロ) 不特定多数人とそのような条件の契約を結んでいたこともよく承知していた(乙第九号証第五枚目第二段目政府委員河野通一君「……匿名組合方式による不特定の多数の人々から出資の形で資金を集めておる形態がある。……」同第一〇号証第三枚目第三段目、河野(通)政府委員「……去る三月当大蔵委員会で、私から政府としての考え方を申し上げたときに、はつきり御説明申し上げたのでありますが、匿名組合方式によつて多数の人から金を集めるという仕組は、それ自体としては預金ではない。預金とは断じがたい、それは出資であるという考え方の下に立つております。しかしそれを個々に見ますと、やはりやり方は非常に千差万別にわたつていると思います……これ等匿名組合方式によつて金を集めているものに対する一般論としては、実は私どもの所管でもございませんし、それについて、かれこれ申上げることは、非常にむずかしいと思います。たゞ私個人の考え方から言えば、商法が認めておりました本来の匿名組合という制度は、おそらく今行われている匿名組合のような実情を、実は想定しておらなかつた規定ではないか。私しろうとでありましてはなはだ責任のあることを申し上げられませんが、何万、何十万という人が出資者になるような形における匿名組合というような仕組は、おそらく商法ができた当時は、予測していなかつたことではないか。従つてそういうことを前提にして考えますならば、現在行われている匿名組合方式による資金の集め方というものを、現在の法律のままでほうつておいていいかどうかという問題は、確かに私個人としてはあると思います。しかしこれは立法論の問題でありますし、……」、その他上掲乙第八号証七枚目第四段以下。)

ことは明白であつて、些かも疑う余地はないのである。

(ハ) 然るに遺憾ながら同人等には商法匿名組合の成立要件、利息附消費貸借若くは預金のそれとの相違、就中、利益と利息との相違を識別するに必要な法律知識が欠けていたのである。(例へば右に掲げた「私しろうとでありまして」という河野政府委員の説明又は乙第八号証一枚目、同政府委員、第五段第三行目以下、「……特に現在最も問題となつておりますものは次の二つであります。一つは株主相互金融であります。……。次に匿名組合契約による資金の受入れ方式であります。この業態は、匿名組合契約による金銭出資を広範囲に募つて金銭を受入れ、これに対しては確定利息を付する形態であります。その出資された資金は通常株式、不動産投資を目的として運用されております。また貸金業を目的といたしておるものもあるようであります。この方式につきましては、商法の規定する匿名組合ではないと言い切るだけの根拠がありません。従いまして、この方式による出資は、預り金に準ずる資金の受入れとは言いがたいと考えます。しからばこれらの問題に対する今後の私どもの考え方はどうかという点でありますが、この点について申し上げたいと思います。上記の方式による株主相互金融と匿名組合方式とについては、株主または出資者たる立場が、あたかもこれらのものが確定配当をいわゆる加入者に対し保証しているがごとき感を与えていることから、預金者に近い立場にあるという主張があります。従つて預金者に対すると同様の保護を与える措置をとるべきであるということがいわれております。これにつきましては、いわゆる加入者が株主または、出資者であつて、そこに一般の事業会社等への株式投資または事業への投資の場合と区別すべき何らの相違も、なく株主または出資者の保護については、一般のこれら事業会社等に対する株主と相違する取扱をなす必要は毛頭認められません。従つてこの投資または出資は、預金とはその性質が違うものであるから、これらに対しては一般の金融機関における預金者保護の措置はとられないということが特に注意されなければならぬ点であると思います。……以上が長い間研究致しました政府部内としての一致した見解であります。」その他乙第九号証第六枚目第二段目後部同委員、乙第一一号証第二枚目第四段目から第四枚目第二段まで、井上委員と吉田説明員との問答、乙第一二号証第三枚目第一段政府委員平田敬一郎説明等)。

これを要するに乙第八号証乃至第一二号証は却つて(イ)いわゆる出資者らに、浮動する事業の成績に関係のない、一定額の支払が約束されている事実及び(ロ)その出資者らが何ら縁故のない、不特定多数人で、何万、何十万に及んでいる事実は客観的に明白であつたばかりでなく同人等にも明白であつたこと並びに大蔵委員らに必要な法律知識を欠いていたことを証するものである。右(イ)の事実は、「利益の分配」なる、成立要件を欠くを以つていわゆる出資契約は商法の匿名組合契約ではないことを示し、(ロ)の事実は、浮動する事実の成績を何万口、何十万口の出資契約毎に計算することは絶対不可能であり、従つて所謂出資者らに約束されたものは、事業の成績とは関係のないものであることを裏付けるものである。然るに委員らは、同号証によれば、契約は自由であるから、商法所定のものと別異の内容の匿名組合を作ることも自由な筈である、当事者が利益の分配と言えば即ち利益の分配であつて事業利益によつて裏づけられていると否とに拘らない、又法律の力を以つてすれば何万、何十万の出資者との個別契約による匿名組合も可能である、と考えていたこと明らかである。第一審における被告らの主張もまた同趣旨であること上記第三項(三)の(2)に述べた通りである。

(3) 第一審判決は最後に破産者坂本自身、一部源泉徴収額を控除していたことを挙げているが、破産者が昭和二八年当時、この税金を納付したのは乙第一号証の三が示す如く、日本白十字経済会に出資すれば確実に配当を受けることができ、如何に有利であるかを誇示し、宣伝するがために外ならなかつたのであり、このことが、(イ)破産者坂本が出資者が相変らず浮動する事業の成績に関係のない、一定額の支払を約束していた事実及び(ロ)その出資が不特定多数人で数千人に及んでいる事実を変更し又は不明確ならしめ、その後破産者坂本が支払つたものは利益の分配で、従つて当事者の契約は匿名組合契約ではなかつたかと昭和三三年九月三日別件賦課処分の頃に思はせる合理的根拠とはならない。

以上の通り、別件賦課処分の違法・瑕疵は重大且つ明白であるから、同処分は当然に無効のものであるところ、これを然らずとして控訴人(上告人)の無効確認の請求を棄却した原判決には冒頭に掲げた憲法及び所得税法の解釈・適用を誤つたか理由そご又は不備の違法がある。

第二点 原判決は昭和二八年法律第一七三号による改正後の所得税法第四二条第三項の規定の解釈を誤り上告人の請求を棄却した違法がある。

別件賦課処分は源泉徴収所得税に係るものであるから、本税に関する限り、その性質は単なる納税告知に過ぎず、公定力を有する行政処分ではないから、これを排除するのにその違法が明白か否かを問う必要はないものである。

納税義務は租税実体法の定める課税要件を充足することによつて、法律上当然に成立する。例えば所得税は(源泉徴収による所得税を除き)、暦年の終了の時、源泉徴収による所得税は、源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時、消費税は課税物件の製造場からの移出の時、不納付加算税は法定納期限の経過の時にそれぞれ、その納付義務が成立することになつている。

しかし納税義務はすべての租税について、必ずしも成立と同時にその内容(納付すべき税額)が具体的に確定するわけでない。

国税についていえば、納税義務の成立と同時に特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する国税と国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額が確定される国税とがある。

前者にあつては政府は納税義務の成立と同時に確定した税額を徴収することができる。源泉徴収による所得税、延滞税及び利子税などがこれに当る。徴収義務者が所定の期限までに納付しなかつた場合には、政府はその税額を徴収義務者に対し納税告知をして徴収する。

後者にあつては、課税要件の充足によつて納税義務が成立しても、政府は直に現実の徴収権を有するものではなく、課税権又は賦課権ともいうべき租税債権の具体的確定のためにする処分即ち更正・決定又は賦課決定をすることができる公法上の一種の形式権を取得し、この権利を行使して国税に関する法律の定める手続により、その国税についての納付すべき税額を確定することによつて始めて、租税債権は具体的に確定し、徴収権を行使することができることとなるのである。

右国税に関する法律の定める確定の手続としては、申告納税方式と賦課課税方式の二つの方式がある。それ以外は認められていない。申告納税方式は課税標準及び税額が納税者のする申告により確定するのを原則とし、申告書に記載された課税標準又は税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準又は税額が税務署長の調査したところと異なるとき又は申告書を提出しなかつた場合に限り、税務署長の更正又は決定により確定する方式で、この更正又は決定は税務署長が更正通知書又は決定通知書を送達して行なう。

賦課課税方式は、納付すべき税額又は課税標準及び納付すべき税額がもつばら税務署長の決定により確定する方式で、この決定は税務署長が、その決定に係る納付すべき税額又は課税標準及び納付すべき税額を記載した賦課決定通知書を送達して行なうものである。

かように更正・決定及び賦課決定は公法上の一種の形成権ともいうべき課税権の行使としてなされるもので、いづれも行政処分であつて、いわゆる公定力を有するものである。

以上は整備された現行の国税通則法以下の税法に明定されているところに従つて述べたのであるが(法律学全集田中二郎租税法一四三頁乃至二〇四頁)、昭和二八年当時の税法の規定、例えば、所得税の確定申告に関する同法第二六条、更正及び決定に関する同第四六条、源泉徴収所得税の不納付加算税に関する同第五七条四項及び七項並びに源泉徴収所得税に関する同第四二条等の規定についても同様に解釈すべきものと解する(新法学全集杉村章三郎租税法一五頁以下、忠佐市租税法要論昭和二五年一〇月版一二一頁以下参照)。

昭和二八年の改正法で新設された匿名組合契約等に基づく源泉徴収による所得税に関する所得税法第四二条第三項の規定の解釈も、上述の現行法の規定と同様に納税義務は利益の分配をする時に成立し、納付すべき税額もこれと同時に、何ら特別の手続を要しないで、確定するもので、「翌月の十日まで」とあるは既に納税義務が成立し、税額の確定した源泉徴収所得税の納期限を定めたものであると解すべく、この期限に納付しないときは国税徴収法第六条の規定により政府は納税告知をすることになるもので、この納税告知はいわゆる観念の通知ともいうべく、上述の更正・決定及び賦課決定とは異り、公定力のある行政処分でないこと明らかである。

然るに別件賦課処分について上告人の受けたのは「源泉徴収所得税決定通知書」(訴状請求の原因第二項参照)であるが、これは「源泉徴収加算税額」が上述の不納付加算税であり従つて、賦課課税だからで、同通知書の「本税額」に関する限りは納税告知であると解しなければならない。

そうだとするならば、違法が重大であること本書第一点第二項において述べた通りである以上、この公定力のない単なる、観念の通知に過ぎない納税告知を排除するのに、更に違法が明白であることは必要でないものと信ずる。本税の納税告知は当然無効であり、これが当然無効であるならばその存在を前提とする加算税の賦課処分も亦当然無効とならなければならない帰結である。

原判決は上記所得税法第四二条第三項の規定の解釈を誤り、上告人の請求を棄却した違法があり到底破毀を免れないものと信ずる。

以上

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